2006 0house

家族4人が暮らす住宅の建て替え計画である。

既に家族全員が職に就かれており、各々の生活スタイルも確立している状況で、手狭な旧宅ではそうした生活にはそぐわない状態であったことから今回の計画に至った。

ここでは「居間/リビング」を中心に捉えた常套手段ではなかなかしっくりといくものは生まれてこない。なぜなら、今回のように関係が成熟している家族にとっては、個々が尊重され個室の方に比重がシフトしていくからである。 そうした中で「個室」と「居間」の捉え方とその在り方がここでのテーマとなった。

ここでは「個室」はいわゆる”個室”というよりも、住宅内に設定された各人用の”内なる家”のようなものとして捉え直している。各自の生活リズムに合せた生活が展開される場である。それは同時に「居間」が持つ求心性の拡散を意味している。
そうした中で「居間」を「室」的につくってしまうことには抵抗感があった。もうひとつ「室」をつくるということは、住人のいない空家をつくるようなものに思えたからである。より明確な輪郭を描こうとする「個室」に対して、「室」としての輪郭がぼやけたイージーな場にしたいと考えた。
いわば、”内なる家”に対する”内なる外”となるような関係である。

具体的には、個室以外の部分は、居間スペースも含めて全体がルーズに繋がった状態であり、それがそのまま外部とも緩やかに繋がってゆくような構成としている。
実際に、親戚も含めた密な近隣関係に対しても、日常は玄関よりもむしろ庭からテラスを介しての接触を前提としている。法事など親戚関係の集まりやクライアントが経営する会社関係の来客を招くことも想定されており、居間スペースは固定化されたものではなく、集まる人によって多層的に使われる。裏を返せば、場所を定義してしまうのではなく、その使われ方の様相がその場を決定するのである。

この住宅は”内なる家”と”内なる外”との相関関係の上に成り立っている。

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